古地図

元来、地図好きが高じて土木屋になったようなものだから
地図を見ていたら、何時間見ていてもまったく飽きることはない。
mixyの友人から教えてもらったヤフーのサービスにしばらく虜になっている。

http://map.yahoo.co.jp/kochizu/index.html

江戸時代の古地図・明治期・現代と三代が重ね合わせになって表示する。
特に縮尺の違う古地図をよく当てはめられたものだと感心する。

道路の曲がり具合がそのまま旧道として現代まで継がれている地域もあれば
全く影も形も残さない地域もある。

その変遷に思いをはせてみるのもなかなか妙である。
人の性(さが)だろう。関わりのある地域ばかり拾い読みしている。
浅草が起点で舐めるように、隅田川を上下する。
浅草を基点に、車で通る買い物コースをトレースする。
浅草を起点に、ちんちん電車のあとを追っていく。
何でも浅草が起点になる。

面白いことに、明治の地図は、江戸の道をそして風景を色濃く残しているが
現代の地図には、その風情が全く受け継がれていない。
秩序が感じられない。全くの異空間に見えてしまうのだ。
かろうじて、道の構図が似ていると言うだけで…

何か違うのだ。単に時代が違うというだけでは、どこか釈然としない。

しばらく考えてみたとき、しばらくした後に「は!」と気づいた。
明治期と現代の間には、大戦の洗礼があった。

戦争は、それまでこつこつと築きあげてきた都市の風景を
根こそぎ焼き尽くした。文化すらも。

戦後無秩序に膨張、変貌していくエネルギーが都市の景観を
すっかり変えた。

田んぼが市街化したに過ぎない江戸から明治の地図と
市街化されたあと、秩序を失ったあとの変貌さを見せる
現代のそれを比較してみていると、

どの歴史書を読むよりも、赤裸々に、
人の愚と智を伝えている気がしてくる。