ドキュメントから

早朝の(世間的には真夜中の)番組に、
若年性認知症のドキュメントをやっていた。

途中からだったので、2例だけだったが、
一人は経営者を旦那に持つ主婦、
もう一例は、技術職の60代の男性だった。

女性はまだ軽い段階だけれど、
文字が書けなくなったのが一番のショックだったそうだ。

それはそうだろう、昨日までなんの苦もなく帳簿を管理していた人が、
突然字を書けなくなるなんて。想像するだに恐ろしいよ。

次の例は、奥様との二人暮し。
技術系の会社を経営していたご主人が、
この病気と診断されて、苦渋の選択で会社をたたむ。

奥様すら思い出せないときもあるほどに悪化する。
徘徊を始めたのが限界で、介護施設に入ることになる。

その前後をルポしていたのだが、もう目が釘付けとなる。

夫婦間で二人の間でしか読めない空気を読めなくなって、
共通の思い出も失い、最期は「いつもいるけど、あなたどなたでしたっけ?」

などと言われたら、自分ならどうなるだろう…

2例目の男性にあっては、技術屋が、ある日から、
急に図面が読めなくなったのだそうだ。

これは、ショックが大きい。

さしずめ僕の仕事なら、念珠が作れなくなるとか、
お金が数えられなくなる。
とでも言うことか…(喜ぶ人間もいそうだが)

これは、相手を理解しなければと思っても、
受容するのは、なかなかきびしいな。

というのが本音。

でも、病にかかった当の本人が、
何より苦しんでいることをこの番組の中で教えられた。

コピーをとるために機械のある二階に行くと、
「あれ?何しにきたんだっけ」を繰返すようになったり、

「あのときのあれは、あれしたっけ」式会話が増えてくる昨今、

決して人ごとに感じなくなりつつあるBooなのであった。