向学心

念珠直しは、僕にとって格好のアイデアの素となる。

人が変われば、考え方も変わる。
作り方も、手順も、玉の選びも。

感心したり、畏れ入ったり、
「人の振り見て…」も、けっこう多いが、それはそれで
次に作るときの肥しになる。
経験値は唯一の財産なんだ。

取引先の営業マンに、
若いけど宝石の鑑定士の資格を持つ者がいる。
アメリカまで学びに行っていた。

「いいね、基礎ができているから」
と投げかけると、
「経験にはかないませんよ」
ときた。

そうね。経験だけは人一倍してきたけどね。
とは思いつつも…
学生に今一度戻れたらなとの思いを、
本音のところには、消えることなく温存しているのだ。

巡拝軸の横軸

マンション生活には、床の間がない。
(神の寄る床がないなんて建築屋さんなんとかしてよ)
すると、どんな立派に仕立てても、祀る場所がない。

誰もが考えてしまうポイントだろう。

結局、空いている壁に吊り下げることに
ならざるを得ない。

そんな現代の住宅事情には…
横軸

表装も生地によって
イメージは全く変わってしまう。
いつも金襴ばかり目にしているから
緞子(どんす)で表装するのも素朴でいい。