隅田川風情

浚渫した川底の泥を運ぶ。

だれもその気で見ない限り気づかない影のような仕事だけれど、感謝に思う。
そんな仕事がぼくも好きだ。

昔、技術屋を生業にしている頃、もう35年も前になる。
神奈川県の逗子に仕事で毎日のように出かけていた。
自分の担当する現場が逗子駅近くにあったためで、文字通り日参の毎日だった。

昼をまたげば、当然現場で昼食となる。
パン好きの青年は当然パン屋に入る。
駅近くのパン屋に何度か足を運んだ。
美味しい店で、寄り道をして買って帰った記憶もある。

時は現代に移り・・・
2~3日前に店の子・・・といっても同い年なのだが。
昔話になった。

青春の頃は、逗子の海にはよく行ったことや、渚ホテルが潰れたことなどなどと、年寄りのお茶飲み話なのだが。
そうこうしているうちに話は、彼女が逗子のパン屋の親戚筋で子供の頃はよく手伝いに行っていたという話となった。

「○○堂って言うんです」
今はなくなってしまったけれど、ちょっと有名なパン屋だったという。
「え!」耳を疑った。

まさしく、え!なのだ。

そうでしょうよ・・・だって、そこで買ってたんだもん。

こんなことあるんだねえ。