かもめの水兵さん

朝の隅田川は気持ちがいい。

もともと水辺が好きで、生まれてからこのかた水辺以外で暮らした事がないぼくとしては、水が生命線でもある。

横浜にいたときとやや違うのは、かもめの種類くらいだろうか。

手すりのオブジェかと思うほど、整然と並びがバット群れているカモメたちにドッキリしながらヒッチコックの映画の主人公になったような気持ちで鳥をよけながら歩いた。

「かもめの水兵さん♪

   並んだ水兵さん♪・・・」

全く違う歌が口から漏れた。

ちなみにこの歌は、「村の渡しの船頭は今年60のおじいさん・・・♪」(船頭さん)や「赤い帽子白い帽子仲良しさん・・・♪」(赤い帽子白い帽子)
で有名な、作詞家武内俊子が、横浜からハワイに布教に出る叔父の見送りに行った横浜港のメリケン波止場で詠んだ詩が元になっている。

久しぶりの懐かしい歌詞である。

さらに言えばこの叔父という人は、大谷探検隊にも参加した明治の探検家であり僧侶でもある渡辺哲信師である。

こんな所で浄土真宗の坊さんが現れるとは思いもよらなかった。

今度、隅田川の川面にぷかぷか浮ぶカモメたちを見るときには、
そんなことを思い出しながら見つめてみようと思う。

朝の風景

隅田川のテラス化工事が始まると消え行く光景だ。

無責任な立場で見ているぶんには、この不規則な画面だからこそ情緒があるのだが・・・・

観光化されていく上では、また防災上においても無理な話なのかもしれない。

せいぜい今を心に留めておこうと思う。