思えば逢える

(どうしているかなぁ・・・)

心に思っていると、ひょんな拍子にばったり出会う。

若い頃から(今でも充分若いけど)そうだった。

思い焦がれていると、狭いとはいえこの日本の空の下どれほどの確率だろう。
天文学的に僅かな確率になるだろうに。
なのに二度も三度も電車の中でばったりと出会う。、

着いた電車から吐き出される人の群れと、ホームから乗り込もうとする電車の出口で出会いがしらで出会う。
出先の庁舎の廊下で出会う。
映画のワンシーンを観ているようだ・・・

数え上げたらきりがない。

つい数ヶ月前も四半世紀ぶりに新幹線のしかも上りの車輌内で「ヨッ」と声をかけられた。
彼とも数日前に安否を心に浮かべていたばかり。

この仕事を初めてからは特に顕著になった気がする。

「あなたのことを思っていましたよ」
相手は、社交辞令と思うだろう。

ところがどっこい、ぼくがそういうときは本当の本当なのだ。

まあ、あんまり真剣に言い過ぎたらそれこそ訝しがって遠ざかられてしまうだろうからほどほどにしている。
でも本当に不思議に思うこともある。

その一人、春日部(だったっけ)のSさんが訪ねてくれた。
すっきりした青年で、僕の甥っ子に瓜二つだったから特に気になっていた。
「赤ちゃんが欲しいけれどなかなかね・・・」
しっかり者のかわいい奥さんと照れながら話してくださった。

珊瑚の話をして、子宝に恵まれますように!と一連腕輪念珠を創らせてもらった。

そののちしばらく足が遠のいていた。
「どうしたろうS君」
そう思ったのは、つい昨日のこと。

「4ヶ月になりました」
そして
「ちょっと奥さんの体調がすぐれなかたから安定期に入ったら行こうと思っていた」とも付け加えた。

そんな吉報を告げてくれた。
涙が出るほど嬉しかった。

こんなだからやめられないんだな。