雨のお彼岸

せっかくのお彼岸なのに雨。

しかもゲリラ豪雨かと思わせるような叩きつける雨が突然襲う。

寺の多い西浅草や元浅草を自転車で通ると、
仏前に供えるのだろう生花を手にしたご老人が雨宿りをしながら空を恨めしげに見つめているのが印象的だった。

まだ父親の墓が小平にあったころ、毎年この時期は、高田馬場から西武線に乗って花小金井まで通い続けた。

母がいけないときでも、姉と二人で冒険心を奮い立たせて通ったものだ。

何度通ったか知れない墓参りの道中。
すがすがしい秋空は記憶にあっても、雨の墓参りは覚えていない。

雨に祟られたのは、墓参りを終えて帰る間際、花小金井の駅の手前での通り雨一度だけだ。

今にして思えば、そそくさと帰る我々に草葉の陰の父親が「もう帰ってしまうのか」と嘆いたような気もする。

こんなゲリラ豪雨の秋彼岸。
なんだろう。
「墓参りなんかに行くな」と言っているわけじゃあるまいしな。