お手伝い

念珠のお直しを受けた。
腕輪念珠が数本なので、10分も待っていただいただろうか。

中に一本だけ珍しい造りのものが含まれていた。
込み入った作りで、玉も日本のものではない。
おや?っと思ったが人が作ったものならどうにか直る。

ただ、しかし、その一本は思いいれのありそうな重みを持っていた。

始め威丈高な感じで預けられたお客様が、気付くと背後にいらっしゃった。

手元をじっと見ていらっしゃる視線が何かを訴えている。
「これでお終いですからね」とTON。

「この持ち主は鳶の仕事をしていたんですよ・・・」と一言。

弟分の若い鳶。
生前から「兄貴にあげるから」と、話していた・・・
若くして旅だった弟分の形見として、お守りとして生きる念珠。

「ありがとう。ありがとう・・・・」
目が潤んでいるようにも見えた。

当たり前のように作らせていただいただけなのに、感謝していただける。

ありがたい仕事だな・・・・