慰霊の町

毎朝TONのランニングコースは墨田川沿いの堤防沿い。

調子良ければ南千住まで走るが潰れた腰椎と相談しながらなので、今年は数える程しかない。
少し前までは、なぜ手をつけないの?と思うほど草ぼうぼうの堤防道路が続く場所も残っていて、都会の中のエアポケットと思うTONのお気に入りコースだった。

最近は隅田川テラスと称してカミソリ堤防の川側に5mほどのさんぽ道が整備されて、今まで遠かった川面がぐんと身近になって、陽光の川面のきらめきを視界に入れながら気持ちよく走れるようになった。

が、一ヶ所だけどうしても避けたくなる場所がある。

そう。言問橋下がそこ。

なにも考えなければよいのだが、曇り空や早朝の薄暗い時間のテラスコースは
絶対に通らない。

スカイツリーの絶景ポイントであるこの場所が、70年前東京大空襲で多くの無辜の命を散らした場所ということは、少し情報が一般化されてきたが、まだ多くの人は意識していないだろう。

橋の際に空襲の慰霊碑と当時の橋の縁石が供養されている。
その縁石に残る脂じみは、亡くなられた多くの人の脂染みと記録されている。

元土木技術者として橋の構造がよく見える位置からの桁というのはゾクゾクするほど好きなのだが、違った意味の身震いが決まってしてしまう場所なのである。

だからここを通過するときは、心にある思いを持ちながら通過することにしている。

あまりアバットの部分なんて、まじまじ見る人は少ないだろうね。

こんなきれいな川面なのにね。何もなかったような美しさだ。