我を捨てる・・・

朝から近所で一騒動があった。

家事や喧嘩というわけではないのだが、結果としては警察や消防も駆り出されたという意味では似ている。

ひとり暮らしの老人がここ二三日姿を見せないね。というご近所さんからの相談がことの発端だった。

足も悪く、倒れればなかなか立ち上がれない。

でも悠々自適の生活をエンジョイしているといえばそう言う事なのだろう・・・か。
そんなことから、ご近所さんで見守り隊を立ち上げて見守っている。

が、二三日姿がない。

電話も出ない。ドアも鍵が掛かっている。
となれば、地域にある支援センターに電話をかけ相談をとなり、警察に、消防にということとなって十数人の救護隊ということになったハシゴまで動員して窓を叩き人名がかかっているのだから、鍵を壊してという選択まで進んだのだが、、、

ようやくのこと救助の消防隊員が部屋の中を覗くと・・・
「なんだ!人が飯食っているのに」

と家の中から立腹の家人の声。
長い時間かかって玄関の戸を開けると・・・・不満タラタラ。

あのね~。そういう時は「どうもありがとう」が返す言葉なんだよ。

TONもいろんな人の死を見てきた。

仏様になる。というけれど、昨日まで我の強いあの婆さんが、「〇〇ちゃんありがとうね」と急に優しくなったんだよね。

といわれたこともある。決まってぼくの反応は「気をつけたほうがいいよ」と答える。
何日もしないで「婆さんが死んだ」と電話が入る。

なぜだろうそんなことは数え切れない。

彼岸に渡る準備なのだろうか。
昔、母ともよくそんな話をした。

「未練を持つものを捨てないと彼岸に渡れないからね。
我もおいていかないとね。だから子供になっちゃうんだ」

ちょっと霊感のある母の言葉だった。
思い出した。

あの人はまだまだ大丈夫。
長生きするわ。