形見

時々修理に持ち込まれるのだが、同じお客様からというのではなく、各方面から持ち込まれることを考え合わせると、昔、女性用の念珠として流行ったのかもしれない。

黒い部分は今ならさしずめオニキスということなのだろうが、これは黒曜石をみかん玉に挽いたもので、手作業で磨いた痕跡がありありで、一つとして同じ玉が見当たらない。

それに赤珊瑚の二天、興味のそそる真鍮のボサ玉 etc.etc.

房は一つ。

当時としては結構な値段だったのだろうと思う。

それだけに、お嫁さんや娘への形見として伝えられたのだろう。

ということで、原型のイメージを損なうことなく、玉数の間違いも正して、房も作ることとなった。

最後に房を切り揃えれば終了。