引き継ぐとは

何年ぶりかで慕わしいお得意様がご来店くださった。

以前は、川向こうにある会社からウォーキングを兼ねて冷やかしに来てくださっていた。店の子も心得たもので辛口のコメントも名古屋商人の商売への真摯さと捉えてそれなりに受け止めていた。そこが楽しく思っていてくださったのか、本当に足繁く通ってくださった。初めにお会いしたのはまだ花川戸に小さな店の時代に奥様とお二人でお見えになったのがそもそもだった。ちょうど今頃の時期だったと思う。ただ、とても寒かった。それから三十数年経つ。若き頃に青年実業家として新聞に取り上げられた記事を商売の心得と手渡してくださった。骨太の青年実業家はいつのまにか九十の坂をとうに越えていた。

足元もおぼつかなくなるほどの齢となっていらっしゃったけど、教えていただいた商売の心は僕の中にしっかり規範となって引き継がせてもらっていますよ。

大切なお客様

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です