僕のお客様にもうかれ四半世紀をはるかに超える方がいる。
ほぼ友といっても良いのではないのかなとも思うのだが。
あまりにも自然体のお付き合いとなっている。
定期的に顔を見せにいらしてくれるし、決まった商品を同じ量だけお付き合いしてくれる。
だから、お客様の肩書きはいつまでも大事にしたい。
来られると昔話になる。
と言っても、二人ともそんな歳ではないので、趣味の話となる。
実は、彼とは共通の趣味を持つ。
彼は大学時代に自転車レースをやっていた。
社会に出て、仕事に追いまくられ多少遠のいたようだが、仕事を早期退職をし趣味を生かし、古い自転車を組んだりする優雅な生活を送っているようだ。
僕は僕でレースもやっていたけれど、ツーリング派で特にパスハンティング(峠越え)が趣味だった。
同じ趣味を持つとさらに垣根を越えてしまう。
気付くとため口になっていたりするから、多少は自戒しながらブレーキを踏むことにしている。
新しい年となり、暫く振りに来訪された。
いつもどおり定石をおいたあと、何がひらめいたのか知らないが、大学時代のアルバイトの話に及んだ。
彼のバイトはもちろん趣味を生かした自転車屋でのバイト。
スポーツサイクルの専門店で頻繁に出入りしているうちに店員以上の腕を磨いた。
週の半分も学業と平行しながら働いたという。
「あれ?」っと突然思った。
話題になっていた自転車屋は、僕も実はいりびだっていた一人だったのだ。
「何年生の時?」
「じゃあ昭和○○年だよね」
「・・・・・・・!!」
「逢っている!」
そういえば、あのころ店員が二人いて一人は恐そうで話さなかったよ。
記憶がみるみる蘇ってきた。
ほんの数ヶ月のことなのだけれど、確かにその店で起きた出来事の共通する記憶を所有している。
35年前の話し。
今の今まで気付かずにいた。
これも縁かな。