お嫁入り。

龍神を横に見る。

お気に入りがひとつお嫁に行った。

何度もこんな場面は経験しているのだが、この寂しさはひとしおだ。

自分が気に入るまで手を入れてもらうし、ダメだと思うものを売りたくはないし、惚れた一点が彫り上がるまで、彫り手には申し訳ないが場合によっては一からやり直してもらう。だから作り手からは嫌われ者のTONである。だから会心の作ができると、手放したくなくなるのも正直なところ。

会心の作の場合は、風が吹く。一涼のそよ風が吹く感覚なのだ。わかってもらえるだろうか。

そんなだからまた作りたくなる。

そして寂しさを味わう。。。

久々にど真ん中。不動明王。

白檀不動明王

久々に剛速球のど真ん中に入る彫りに恵まれた。

どんなに細心の注意を払って彫ってみても、相手は0.1mmの狂いで表情は一変してしまう。高い材料を使おうがそうでなかろうが、見事に彫り手の心根の微妙な動きが出てしまうものだから。

だから出来上がって自分の目で確認するまで、恐ろしくて仕方ない。

だけど、施主さまの喜んでくださる顔を想い描いてしまうから、やめられないのだろう・・・・な。

龍神さま、お久しぶり。

最後の一体が出てしまってから幾星霜。。。

浅草の観音さまと龍神様は切っても切れないわけでして、お店にいらっしゃらないとどことなく物足りないのでした。。。がようやく一体彫り上がり今日手元に届きました。以前と遜色ないといえば嘘になりますが、よく彫れていて少しばかり安堵のTONであります。

ちなみに材はこれもTONの好きな楠木です。

またまたこんなものを・・・

1mmのビーズ
1mmのビーズ

1mmのビーズを探してきて、しこしこ作りました。目の良かった頃だったらなんの苦労もなかったのでしょうが、7mm8mmでさえ、見えないっつ~のに見えるわけがない。勘です。勘。両津勘吉です。ジュエリーの世界の人たちはこんな作業を難なくこなしちゃうのですから大したもんです。

僕らの世界ではまず用いない大きさの玉ですからね。

本当は木玉がよかったんですが、木の1mm玉はありませんでした。

で、何を作ったか。です。

mini念珠
mini念珠

これが成果ですよ。

ミニミニ念珠。

何のため?

 

はい!こうなりました。

長谷観音さまには念珠が必要ですと言われてあわてて作りました。尊像が二寸五分(約7.5cm)なのでこうなりました。

弁天様さようなら。

弁財天

最後の一点がお嫁に行ってしまいました。

このさみしさは・・・いつものこと。

一点一点、一仏一仏、思い入れを持ちながら製作したものばかり。木の中から仏様を見つけ出す作業というけれど、正しくそのとおりなのです。

だからこそ、理解してくださる方のところに行くのを望むんですよね。TONはね。

仏像の修復

仏像の修復は比較的多くやらせていただいてきたと思う。

粉々になった仏様もあれば、腕を失った阿弥陀様、持ち物を失くした千手観音様、大日様・・・・これでもかというほどあるけど惜しいことに写真を残さなかった。今回お預かりした仏様は後背の一部を欠損したので痛手は軽かった。

修復前
修復前の様子。後背の頭頂部が欠損。
修復後
修復後

色を古色に仕上げてみればちょっとやそっとじゃわからなくなった。

龍神さま

いつものことなのだけれど、お気に入りの作品(商品と思っていない)がお嫁に出るときは嬉しい半面一抹の寂しさがいつも伴う。

商人って誰もそうなのだろうか。

苦労して造作をつくりあげた対象であればなおさらなのだ。

龍神さまは、お客様からイメージを伺い、画を起こし、描き直し描き直し形にして仏師に渡す。

そこからもやり直しやり直ししながらイメージに近づける。
画は自分で起こすとしてもぼくの要望に応えてくれる彫り手がなければできないから、今は少し難しい環境になっちゃったかな。

それだけに「売れ残りでしょ、安くしなさいよ」なんて言われるともう残念で仕方なくなる。

本当によさを分かって下さる方を待つことになる。。。

お寺に収まっていただけるようで思い残すことはない。

・・・のだが・・・・