古来からの一般的な房である菊房(梵天房)は細い糸を束ねて糸で縛ることで糸が膨らむ原理で丸い房に加工している。その欠点は糸が抜け出すと簡単に崩れてしまうところにある。
法要中、長いお経に足は痺れ、意識が遠のく、手持ち無沙汰な手にはお念珠、寝てなるものかとつい梵天房をいじくってしまう。だれもが経験することではないだろうか。
ほろりと一本抜ける。
はらりと二本抜ける。
ばさっと五、六本抜ける。
どひゃっと何十本と抜けたが最後全部なくなってしまう。
髪の毛だったら悪夢の世界だろう。
四谷怪談のお岩様もさぞかし一服持って死に追いやった神谷家右衛門を髪は女の命とまで言われていた頃の御代、さぞかし骨髄まで恨んだことだろう・・・
ちょっと脇道にそれてしまったが、髪も梵天も要するに抜け出したら抜けきっちゃうよということなのだ。
だから・・・
一本でも抜けたら、もう念珠屋さんに持ってきて。
ということを言いたかっただけなのだ。
まだ初期段階だった。
整形すれば収まりました。