お寺の仏像や仏具の修復をさせていただくとそのたびごとに勉強させてもらえる。
この日蓮上人の尊像は江戸期末のものらしいのだが、玉眼入りということで当時はかなり値の張るものだったに違いない。
100年以上の経年変化は仕方ないものだけれど、意外にしっかりしていた。
予算の都合もあって像本体は手をつけられなかったのだが、将来に持ち越すために最低の留めだけは施すことと上部の時代と台座の時代がかけ離れないようにとのことで修復に入った。
そして出来上がり。
お客様は、一目して頭をひねった。
どこに手を入れたのかわからない。
以心伝心である。
初めはこうだったのですよ。
と、修復前の写真をご覧いただいてようやく納得。
自然な色合いで修復後に時代をかけるので、わからなくなってしまうのは毎回のことなのです。