浅草裏道点描

TONの生まれた街にもよく似た景色があった。

そこで育ったせいか、戦後のドヤ街を思わせるゴミゴミさがどこか居心地が良かった。

世紀をまたぐ付近から街は急速に近代化していってしまった。

どこかよそよそしさが漂う均質な風景に衣替えしていってしまった。

浅草にはまだその縁(よすが)が残像のように残る。

都市計画や防災計画上は耐えられないことは十二分理解している。

けど・・・

そこに惹きつけられるのは、人の曖昧さ、矛盾性が形を顕しているからなのか・・・

一株から天を覆う藤棚となる。

もうこんな風景も見えなくなるのだろうか。