気づくと後ろにお客様が佇んだ。振り向くと懐かしいお顔。つい気が緩んだ。
半年前(そんなに経っていないかな)ママチャリで亀戸まで出かけたことがある。もちろん仕事だ。
仏壇の電装品がうまく点かない。というご相談を受け、訪問して新しい電装品と取り替えさせていただいた。最近は訪問してまでというのが少なくなっただけに、水を得た豚のように。。。いやいや魚のような気持ちよさで、ふんふん♬いいながら亀戸まで短い足を伸ばしてきた。ことがあった。
ちょうど夏日のような暑さの中だっただけに汗だくで到着。御夫婦で暖かく迎えてくださった。
無事取り付けて後、どうぞとお茶を出してくださったのが奥様。もちろん世間話。TONがチンチン電車キチだと話すと、「むかしはすぐそばに都電が走っていたんだよ」と今は緑道になってしまった小道を教えてくださり、奥様も昔話に興じてくれた。
「4月に亡くなったんだよ」
あえて無表情に語ろうとするがぎこちない。
ご主人の言葉に固まった。
末期の癌だったという。 毎年検査していたのに・・・
思わずぶわっと目から雫が飛び出した。TON。
全く自覚症状はなかった。それが唯一家族としてはありがたかったと言う。
亡くなる3時間前まで自分の葬式の件、子供たちとの会話、、、話し終えて静かに永遠の眠りに就いた。
話し終えると冷静だったご主人も堪りかね相好を崩された。
伺った時、宿題をいただいていた。
早く行かなくちゃと再訪を考えていながら、忙しさにかまけ後回し後回しにしていたTON。
悔いた。
心に浮かぶことは、近々必ず何かある。昔からそうなんだ。
TONは子供の頃からそんなことばっかり。
だから一期一会。
その時で済ませる。後に後悔のないように。しているつもりなのだが・・・
令和にはこんな思いしたくないな。改めて思わされた。