浅草のそら

別に画面を誇張しているわけではない。
でも地面が歪曲して見える。
それもそのはず巨木の根っこの生命力に敷石がぐいぐい持ちあげられているのだ。
いったいいつまでこの状態のままにしておくのだろう。
以前はこの交差点(吾妻橋西詰)の三ヶ所にはくすかな楡かな、巨木が植えられていて夏場の日差しから守ってくれた。雨になれば傘に早替わりしてくれもした。
けれど一本は工事の都合で伐採されてしまった。
もう一本は同じ時期に植えられたであろうが、さほど巨大化はしていない。
この一本がなぜかぐいぐいと両手を延ばし深く根を深めている。と同時に舗装を突き破らんかな見事に弧を描かせている。
成長する過程で根本の保護なのであろう幹の回りを覆うインターロッキングは雨水の吸収を妨げるだけの代物となっているのに、未だ根本を覆い隠している。
はたから見ていると息苦しくて仕方ない。
よく暴風の吹く時期、街路樹が倒壊した映像が流れる事がある。風の強さばかりが話題となる。
けれど見上げるような大木にもかかわらず、ほんのわずかな根っこが白昼の下にさらされる事がある。
街路樹は日常的に車両に踏まれ成長を妨げられる。だから歩道側にのばして行くしか手はない。
専門家ではないから樹木の声は聞く事ができない。
が、素直な心で木に聞いてみるとよい。

確か樹木の根は枝っぷりの広さと概ね=なのだと聞いた事がある。
何十人もの人々を覆い隠してくれる大木の根本が人一人程度の広さの窓が空く。そこから息をつく。水分を補給する。ほんとだろうか。
こんなんで生きていけるの?

そろそろ環境を変えてあげてもよいのではなかろうか。
今はどんな巨木だろうと平気で切り倒すそんなセンスのない時代に見える。
数十年くらいの樹木では歯牙にかけないのだろうけど。