この浅草という土地柄、
海外のお客様のご来店が非常に多い。
この数年は、特に中国本土や東南アジアのお客様が、
明らかに目立つようになってきた。
以前は、欧米の方がほとんどだったのに。
こんなところにトップダウンの情報より、
草の根経済学のほうが、
現状の世界経済を肌身に感じるところだ。
海外のお坊さんもずいぶん来店される。
以外に思われる方も少なくないだろうが
西欧への日本の僧による布教は歴史が長い。
青い目の修行僧は、日本の本山で修行して地元に帰り寺を建てる。
そうした修行僧もいれば、アジアのお坊さんもいる。
開店早々、初めて接した外国のお坊さんは、
開放前のポーランドの雲水(修行僧)だった。
東欧圏から国を抜け出し、
禅の修行にこられていた若い僧だった。
下手に帰れば刑に服さなければならない。
命がけで修行していた顔は神々しくも感じた。
韓国、台湾、中国、ハワイ、米国、ドイツ、フランス…
本当にさまざまだ。
最近、
シンガポールの雲水さんとお付き合いをはじめた。
「何でも人にあげてしまうから、何にもないの」
といつも笑いながら、少ないお小遣いをもって
店に念珠を買いに来られる。
沙門(独身で生涯を通す僧)であり、
激しい修行をされてきたであろうことは微塵も見せない。
でも、わかるよ、それくらい・・・
指に文字通り火をつけ、仏を供養する。
しつこく聞き出す僕の要請に応じ、信仰の決意の一端を漏らしてくれた。
目がきらきらした青年だ。
国を越えてまで修行を極めようとする心が、
かの昔、日本の僧が命がけで荒海を越え、
唐の国に仏法を学びに行ったその姿とダブってしまう。
毎回顔を見るたびに
何とも言えない、すがすがしい気持ちにさせられるのだ。