いつも、はらはらどきどきしている。
オーダーの念珠も仏像も。お直しも。
製作物って、リスクが大きい。
できて来るまで、実物はないのだから。
計画図面はあっても虚像でしかないわけで、
頭の中でイメージは膨らんでいく。
お客様も創る側もお互いに。
できあがって現実を目の前にしたときのリアクションが、
その評価となる。
職人として、企画者としての真価が問われる。
いつも開けてみるまでわからない。
お客様はどんな評価を下されるだろう…
どんな表情になるだろう…
出来たものを見ていただいて、
「こちらですね、はいどうぞ」と売るだけの商売は、
どんなに楽だろう…
と、となりの芝生がいつも青々して見えてしまう。
でもね、人間一番恐いのは「慣れ」だと思う。
販売している姿を見ていても、
なれない新人のうちは、お客様に使われる。
お客様とどう向き合ったらよいかわからないから、
商品知識も乏しい中で、出来ることは体で奉仕することとなる。
何をどうしたらよいかわからずお客様に顎で使われる。
がぜん汗を流す。
でもそれがいい。
慣れてくると、自分が動かずに、
お客様を自分の側に引き込もうと作為的に動こうとしだす。
それでは絶対!ダメなんだ。
お金を頂くことは、至誠が必要だと思う。
それがなければ、自動販売機でよいのだから。
(最近の自販機にはおまけや当たりくじがつくこともある)
物+αなのだ。
だから、いつもどきどきはらはらしていられることは…
慣れさせない、腐らせないための天の計らいなのかもしれない。