TONは職人の仕事って今現実に目の前の困難を駆逐することなんだけど、同時に「未来を想像しながら手を打つ」「未来の姿を予想して困らないように対策しておく」が仕事と心得ている。
今は念珠の職人稼業をさせてもらっているが、職人としての出発は土木技師職、つまり土木職人と思っている訳で事の大小はあれど職人に変わりはない。
土木技師だった時には、ここにこういう路線を通したら山はどうくる、ここにダムを作ったら水はどうなる、必ずその先を考え予想しイメージを膨らませて防止策を考える。そのための裏付けも嫌になるほど調査しておく。それが仕事だと思っている。
その癖は今の職人稼業に十分生かされている。そう思えたのは最近の話しなのだが。
まぁちっちゃなことかもしれないけどね、
今日修理の念珠を預った。一時間だけ時間をもらい早速取りかかった。
念珠をばらしてみると驚いた。
尺三寸の大玉の念珠を形造っている背骨にあたるのは中糸だが、それがあまりにも細い。
家の中ならまだよいが万一何処か外で切れた場合、玉の行方は知れず四方八方に飛び出してしまうことだろう。
古い念珠修理もしょっちゅう手がけさせてもらうが、昔の念珠は小さい玉穴にどうやって通したんだろうと思うほど、引越糸(髪の毛のような細い正絹糸)を束に撚って明らかに玉穴径+αの撚り糸を作りそれを通す。玉と糸とにはつゆほどの隙もない。だから、、、
仮に糸が切れたとしても何玉かは逃げられても概ねの玉は糸の摩擦力で飛び散りは遮られ、宙ぶらりんの状態で逃げることない。
念珠はいつか切れるもの。
なのだ。だから切れた時にいかに玉を逃がさないか。先を考えるのだ。

左/元の糸 右/お直し中

こんなに違うもんね。

