ここまで・・・・

TON店長のお気に入りのひとつがこの救世観音。

聖徳太子はこの仕事を始めるときに心を寄せていた尊敬するお方。
その聖徳太子を供養するために造られた救世観音を再現したいと思い製作した像。

行信僧都が739年に聖徳太子を供養するため再建された法隆寺の横に東院伽藍(上宮王院)を建てそこに八角仏殿(夢殿)を建立したとある。

一方フェノロサが訪れるまで救世観音は白布でぐるぐる巻きにされていた秘仏でもあった。
それを彼の一言で世に出ることとなった。

露になって気付いたことは、不思議なことに光背の取り付けは通常、胴体部分か、光背に長材を取り付けてぐっと伸ばし台座に取り付けるものだが、救世観音の場合、直接後頭部に差し込んでいる(刺し込むといったほうが適切か)。
どうみても杭を打ち込んでいるように見えてしまう。

官職についていた藤原不比等の4人の男子は当時流行った天然痘で同時期に失うなど太子の祟りに恐れをなし造立したといわれる救世観音に対しての不思議さが伝わってくる考え方ではある。

その部分まで再現していた・・・・

脇待

釈迦如来の脇を固めるのは、普賢菩薩と文殊菩薩。
最近は絵像で済ましてしまうことが多くなってきたけれど、彫仏の脇待にはやはり重層を感じます。


あれ?
阿弥陀様のところはご愛嬌。
いずれも最上彫りの二尊です。

普賢菩薩

文殊菩薩

大元帥明王

正月。仏像大好きのお客様が顔を出してくださった。

なかなかいいバランスに彫れないことを告げるとがっかりして帰っていかれたのだが、こちらの胸も痛いのだ。

そんなことがあって仏像を整理していると、まだ店に出していない種類のものに思い当たった。

国家鎮護の仏像ゆえに資料が極端にない中、一枚の写真から起こした一体だった。
大元帥明王。

本当に大変だった。

けれどこれくらいの彫りは以前は可能だったんだよね。

今は・・・・
う~~~ん。

と、首をひねる。ひねらざるを得なくなっているのが現状。

素材の白檀(老山白檀)も思うに任せないし。

もう・・・自分で彫りたくなってきた・・・・

仏師の力量


光背、手持ちの蓮以外、一木からの削りだしで造られているとどう想像できようか。
職人の技術の高さに舌を巻く。


バランスはもちろんのこと、細部へのこだわりは群を抜く。

そうだ・・・

こんどは課題になっているあれを彫ってもらおう・・・

腕がいいと、そんな夢をもつ余裕が生まれるのだ。

観音様二題

観音様の門前で観音様がいらっしゃらないのはちょっと寂しいので・・・
お二人入りました(^^

いずれも可愛いサイズ。
柘材仕様で宝珠光背。総高さ24cm。

カヤ材仕様で舟光背。総高さ21cm。

不動明王

東寺の不動明王がモチーフ。
日本では最も古い作であると同時に、日本の不動明王像の原型とも言え、不動明王のオリジナルとでも言ってよいのではないだろうか。

聖観世音菩薩

以前は仏像の価格が下落傾向だったけれど、素材の高騰で目を覆うばかりに高まってきた。
白檀といっても老山白檀のことで2倍3倍と跳ね上がり、ついには輸入できなくなりました。という危機的状況になってきた。

一般のお客様の耳に入る情報ではないから、何のこと?
と、思われるかもしれないのだが、仏像やお香の製造現場では死活問題となっていることなのだ。

伽羅沈香が手の出せないほどに・・・金地金をはるかにしのぐ高騰ぶりには口をあんぐりとしているほかはない格好なのだけれど、老山白檀までもが、この危機的状況に陥るとは数年前には考えられないことだった。

老山つまり南印度マイソール産の白檀材が手に入らないので、東南アジアやオーストラリアはたまたアフリカ産の白檀に移行している。

ここだけの話し、その高騰ぶりに便乗して、白檀と銘打ち老山白檀以外の白檀を老山白檀の価格で販売する輩もいるそうなので注意が必要と思う。

そして職人の人件費も高騰してくることで追い討ちをかける格好となっているのが現状なのです。