ちいさなことだけど

もともとデスクワークがいやで、
土木技術者の道を選んだ。

山野に囲まれたくて、
自転車趣味を選んだはずなんだけれど・・・

どういうわけか、気付くと都会のビル群に囲まれ、
窓を開ければ、隣の窓に飛び移れそうな下町にあって、
お店に一日はりついている。

考えれば考えるほど「?」が百も千も浮んでは消えていく。
縁の不思議さを噛みしめる。

自然にどっぷりつかるのは何より好きなのだ。
いつかは、海の近くに住みたいとも考えるが…

こんな都会の真っ只中だけど、
ここに暮らすと、些細な変化でも敏感になるのがわかる。

ネコの額の自然が微妙に変化する。
その様がすばらしく変化に富んでいるように見える。

小さな命が、懸命にアスファルトの切れ目から、
敷石の継ぎ目から、
植栽の合間に…と、ところどころ顔をのぞかせる。

人工的な中にも自然に回帰しようとする命に
ついエールを送ってしまう。

ラベンダーが植えられた雷門前。

考えさせられるなあ

ネット上での中傷ほど人間の暗部を見せるものはない。
かといって反論すれば、これほど不毛さを感じるものもない。

隠れ蓑に、姿を隠しながら槍で突っつくのだから、
これほど卑怯なことはない。
見えもしない相手に向かうのだから。
虚空からつぶてが飛んでくるようなものだもの。

姿が見えないと、何でもできる???

人の本質に巣食う暗部なのだろうか。

ぼくの店の前には、長年小僧さんが合掌して、
道行く人に挨拶を交わしている。

もう20年をゆうに越えているが、僕と同じですこぶる元気だ。
ただ、あちらこちら、光出してきてはいる。
道行く人が、撫でていくからに他ならない。

その様子を見ていると、人間性が姿かたちではないことを、教えられる。

高等教育を受けているように見える上品な方が、
「かわいいね」と撫でる子供の手を、
「汚いから触るな」と、小僧の頭から引っぺがす親もいれば、

ヒップホップのリズムを取りながら
ふと立ち止まり、手を合わしていく強面の若者もいる。

本当に楽しい光景が見られる。

こちらが人の本質と信じたい。

なかなかいい

ご注文いただいたものだけど
自分で作りながら、なかなかいい(^^ 自画自賛?

六本取りのオリジナル編みを施している。

仏像

仏像がいい。

念珠の製作もたのしいものだ。
一個一個の珠=心・人・小宇宙
を一本の紐(観音)でつながると大きな宇宙が形成される。

そんな気持ちをイメージしながらつなげていくと
独特な世界に入る。
それはそれで楽しい。のだが、

仏像も出来上がるまでのワクワク感は得もいえぬものがある。

こんな尊像は、見たことないなあというとなおいい。

今度は雷門をつくろうか・・・

オーラ

新宿区のKさんは、
カイロの草分けの一人

80歳をこえてなお現役で東京近辺の患者さん宅を走り廻る。
小さい体に似合わず、人の倍のスピードで、
サッササッサと歩いて、あっという間に見えなくなってしまう。

「お元気ですよねえ…」
いつもの一言をかける。

朝ごはんには文字通り、ごはんを食べて一日中、外食はしない。

会うたびに力をもらえる。
体中からの、オーラがまぶしい。

自分もあと30年。
同じように活動できるかな…

後ろ髪

6月と言うのに、
もう仏壇屋は、お盆一色になります。

東京は、7月がお盆月だから今月が準備の月。
じゃあ、8月は…

もちろん、お盆月。

だから東京の仏壇屋は、秋彼岸が終わるまで、ずっとこの調子が続くことになる。
しかも浅草の7月は、あさがお市も、ほおずき市も、花火大会もあって、
人の切れ目がなくなってしまう。

以前は、体力まかせに時間も構わず営業したけれど、
もう気持ち(もっぱら体力かもしれない)が続かなくなった。

店を、開けっ放しにするより、
職人仕事に切り替えてしまうほうを選ぶ。

でもねえ…
一年にこの日しか逢えない人があるかと思うと…

ついねえ…

後ろ髪を引かれつつシャッターを閉める。

まあ…その縁が、ネットで出逢えますように。

歳重ね

商売柄、仏壇屋というのは、お年寄りとのご縁が多い。

もともと人の話を聞くのが好きだから、
苦もなく…というより興味深々で、その方の人生を聞きたくなる(時間の許す限り)

自分の人生は、まあ…せいぜい…よくて80年と思っているけど、
お年寄り(と思うことはないのだが)の話を聞くということは、
相手の人生のエキスを短時間に経験させていただける、
ということを意味していると思う。

プラス云十年。また他の方の話を聞けば、プラス云十年・・・
と、歳を加算できる気がしてならない。

そう考えると、自分は妖怪のような年齢になってしまうのだが、
今だ元気だ。

だから、聞けるときは、同調できるよう、
話しの環境にすっぽり入るようにする。

喜怒哀楽すべてに周波数が合うように。

中途半端だと聞き逃してしまう。

真剣勝負だ。
相手の人生の山谷をトレースしたいと思う。

昨日の元特攻隊のMさんの話もそうだった。
今日は93歳のおばあちゃま。

かくしゃくと一人で浅草経由で西新井大師に出かける。

「あんたんとこが好きなのよ」
と言って、小一時間浅草の昔話をして帰る。

誠に楽しい。
いったい幾つ歳を重ねただろうか。