通販という世界で初めて購入したのは、
小学生のとき。
少年誌の欄外とでもいうのか、少年相手にコインだ切手だと
当時の少年を対象にうさんくさい記事があの手この手と載っていた。
今ならそう思うだろうに・・・
毎日のようにそのCMに目を奪われていた。
古銭マニアだった僕は、一円銀貨が欲しくてならなかった。
3000円程度だったと思うが、
微々たる小遣いではとても買える代物ではなかった。
5円、10円とせっせと貯めこんだ。
千両箱の貯金箱がそれなりに重さを増した頃
「特価」「美品」の文句に目が止まった。
親に内緒で貯金箱は空になった。
待ちに待った。
何週間も待った。
今なら、「おかしいぞ」が先によぎるだろうが
全額払込みながら全く不安はなかった。
一ヶ月近く経ってようやくずっしりとしたものが手元に届いた。
恐る恐る、ソーと開けてみた。
「ピッカー」
光ってる。
光ってる。
光りすぎている。
明らかに、手を加え磨かれていた。
美品とは、磨いてきれいになった美品なのだった。
(古銭の美品とは手を加えなてはならないのだ)
何処に頼んだのか今になっては知る術もないが、
天国から地獄に叩き落された気持ちだった。
「二度と通販なんて手を出すものか」
40年以上前の話だ。
気付くと販売側に立っていた。