支えられて

どうも体調が思わしくない。
出かけるのもちょっと億劫で中でごそごそやっていると

「店長さん」
懐かしいイントネーションの声に思わず頭を声の主のほうに向けた。
以前、うちで働いてもらっていたOさんの太陽みたいな笑顔がそこにあった。

寿退社でみんなに見送られて職を辞してから19年振り。
風船のように丸かったお顔も年相応に落ち着いて見えた。

姿かたちは変わっても、すぐにわかるね。
人は形じゃあないと、生きた見本のような人だと思った。
「人を外で待たしているから」と足早に去った。
頑張り屋の後姿を見送った。

S師からお手紙がポストに投函されていた。
はがきの小さなフィールドでは収まりきれない達筆な筆で、びっしり書かれていた。

生きた仏教を実践される師には感服するところ大なのだけれど、
文章で人が生かされるということをいつも気付かされるのだ。
また改めて教えられる。
痛み入る思いで文字を追った。

位牌が欲しいと電話が入り僕にかわった。
仏壇や仏具は、ホームページには出していないんです。
もしよければ、すぐに画像をアップしましょうか?
と聞くと、

「ネットは苦手であまり見ません」と答えてきた。
「じゃあカタログを送りましょうか」という話でまとまり住所を聞いていると
どこかで聞いたことのある住所。

すると電話の向うから、
「TONさんでしょ」
突然名指しされたので度肝を抜かれた。
20数年前にはよくお付き合いのあったKさんだった。
本人は気付いていないが、昔から僕のパワーが落ちそうになると
何かしらの手段で連絡をもらうのだ。不思議な縁だと思っている。

なんだか不思議な一日だった。

調子の悪さがどこかに飛んでいた。

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