20年来お付き合いのある問屋さんが閉店間際に飛び込んできた。
今日来店するとのアポイントもなかったからちょっと驚いた。
もっと驚いたのは、いつにもなく雄弁であって、切り口上であったことだった。
昭和一桁だし耳も遠くなったから声のでかいのは仕方ないにしても
「もう仕事辞める」
という。
80歳近い歳になって、仕事を受けるため人間関係を保つのに疲れたと言う。
「80歳近くて仕事ができると言うことはそれだけでも感謝でしょ。」
僕が言うと、知らん振りしている。
閉じた耳には届かなかった。
「でもここに来るとホッとするょ」
少し気を楽にして帰路に着いた。