「ママ、あの時見た神様どれだっけ?」
可愛い声が念珠製作の作業をしている背中に聞こえる。
「しー。おとなしくしているの」
ママのひそひそ声が聞こえる。
構わず、その声は、ママを矢継ぎ早に質問攻めにする。
「私の神様なんだっけ?」
「なんて言う神様だっけ?」
「神様?仏様?どう違うの?」
「これ悪魔?」
「だって炎を出しているよ」
「何で炎を出しているの?」
etc.etc.
「静かにするのよ」
ママは終始穏やかにそして、静かだった。
静かな店内に自分たちの声が響くのが迷惑だと思うのだろう。
同時になんて答えるか店の人間に聞かれるのもおこがましいとも思うのかもしれない。
けれど、小さな好奇心は、的確な答えを待っている。
多少、小うるさくても小さな脳みそと心は、受け入れ態勢をとっている。
このときの一言が子供の骨髄に一番染みるのである。
ちゃんと答えてあげて欲しいなあ・・・
と思っていると、
「この仏様?」
ママはしょうがないわねとばかりに質問の仏像に指を差した。
「あ~~神様に指差しちゃいけないんだ!!」