10年近く前に販売した日蓮上人2寸の白檀の仏像だ。
先々代がある宗教の影響をうけて、仏壇や本尊、お墓、はたまた先祖全ての戒名まで書き換えて、代々の宗派を捨てたことが家系図調査の段階で知るに及んだ。
半世紀以上たっている今、子孫はすっかり自分の宗派は、改宗後の宗派を本来のものと信じ込まされていたという。
それはしかたないことだと思う。
先祖供養はお寺からのみ教えられるものではない。
家の中で父母やとくに祖父母から生活を通し教えられていくものだ。
親や祖父母が信仰していれば自然と身についてしまうもの。
そのことを知ったお客様は、やはり先祖代々が信仰していた本来の宗派に戻すことを決めた。
「先祖からの宗旨に戻すので」と置いていかれた。
お預かりした。
時の移ろいを全く感じさせない日蓮さん。
鼻を近づけるまでもなく、老山白檀の奥ゆかしい濃厚な香りが漂ってくる。
白檀はこうでなくちゃ・・・
もうこんな白檀は出てこないだろうなあ。