台湾の方で、もうずっと長いお付き合いをしてくださっているお客様がいる。
かわいい兄妹と共に、年に2~3回。
小学校はアメリカンスクール。
実に人懐っこくて、いつもニコニコお母さんもニコニコ。
僕も知らぬうちにニコニコ。
ニコニコを伝染させて帰る。
そろそろ逢いたいなあと思うと、後ろから突然
「店長さ~ん」
と元気な声をかけてくださり驚かしてくれる。
そんなお付き合いも続くと身内動揺に感じてくる。
ある日、息子がアメリカに留学すると言い出し、あまりの心労にせめてお守りにと念珠を持たせた、
アメリカだからなかなかな押しには来れないだろうと、中ゴムをうんと入れてね。
それが何年たつんだろう・・・
「なかなか帰ってきません」
母親の心配をよそに、青春を謳歌していたのだろうか・・・
研究に没頭しているのだろうか・・・
いつしかお母さん、足を引きずるようになり
杖を突くようになる。
手術を繰り返す。
(どうしているかしら)
「店長さ~ん」
やっぱり現れてくださった。
体が傾いていた。
「娘がアメリカに行くって」
170cmをとうに越え成長した娘もわが手を離れて飛び立とうとするる。
お母さん心がどうかしてしまいそうな雰囲気が会話の中に垣間見れる。
親の気持ちが、理解できるころにはみんなどうしているのかな。
ひきこもごもを感じる。
「NASAの宇宙船を打ち上げの時に、お兄ちゃんは映ると思うから、次の打ち上げの中継を待っているのよね」
半ば真剣にそんなことを言わしめる。そんな残される母の心にちょっとばかりキュントなった。