菊は強い

以前は女の子の名前に菊の字をつけることが多いような気がする。

実際調査したわけではないので感覚的なものでしかないけれど、日本的だから菊の一字をつけるのかなくらいの認識でしかなった。
菊、菊子、字を変えて音だけの紀久子、喜久子、男名でも菊雄、菊夫、喜久雄、菊三郎などなど・・・
番町更屋敷のお菊という特殊な立場もあるが。

毎月写経の例会に仏前に華を供える。仏花というものである。
何年か前までは、フリージアだのカーネーションだの洋花でほんわりしたイメージの花が主流であった時もあった。

が日持ちがしない。

きっちり毎朝、水を取り替えてあげても、せいぜい一週間もてばよい。

特に夏場はどうしようもなく水を腐らせしおれてしまう。

いつの頃か、昔ながらの菊が主流になってきた。

スーパーでもお彼岸になれば仏花が売られるのだから、手に入りやすいと言えば手に入りやすいからなのだろうし、安いという理由も考えられる。

菊が用いられるようになって解ったことがあった。

彼らは少々の水の濁りにも充分持ちこたえる。

強い。

一緒にそえてある用花が次々に脱落していく中で、しっかり芳香も保ちながら、花の照りを失わない。

はっはーん!
なるほど、菊というのはこういう強さがあったのか・・・・

畏れ多いことですが、天皇家が菊の御紋章になさることに深く納得させられるまでもなく、日本人の菊好きは、こんな花の清楚さながら粘り強い生命力を好んだのかなと妙に感動したTONでした。