沈香という木

なんの変哲もない木くず。

興味のない人が見たら、フッと一息に吹き飛ばしてしまいそうな木片。

けれど、香に関心のある方には、これが沈香ですとお話しすれば、ちょっとは耳を傾けてくださることでしょう。

しかも、これが人工的に種をまいて栽培し腐食させて育てた栽培物ですと答えたら、さぞ驚くことでしょう・・・・

こんなに高騰し続ける香木の世界。
純粋に香の好きな人間には実に辟易させられる問題です。

投機の対象として伽羅や沈香が取引されるか・・・・
成分分析がはっきりわかり栽培方法が確立したらどれだけよいか・・・・天然モノか養殖モノ化を選ぶのは買う側の自由に任せればよい。そんな時が近づいたのかなとちょっと嬉しくなります。

ここ最近大切な方を見送ることが多い。
上さんにも守ってくれる人がどんどんいなくなって寂しい。なんてもらしていたせいか・・・

夢を見た。

そこは、大変お世話になった、またなっているお坊さんの息子の身内だけの結婚式。
自坊。信者さんも数人控えていた。

ぼくが参加するいわれはないのだが、なぜかそこに座していた。
巷の結婚式とはずいぶん異なって、宗教らしさをふんだんに香らせる、荘厳な中、もう鬼籍に入られた安寿さんが式の意味あいを僕に語ってくれた。

何故か、重要な気がして書きとめようとした。

でもペンがない。
書き留めなきゃ・・・

記憶するしかない。

よし。ここは目を覚まそう。
目を覚ました。
でも思い出せない。二行だけ書いて後がつづかない。

と思っているうちにこれも夢だったことに気が付きながら目が覚めた。
時々やるのだ、二重睡眠・・・

もう一度紙に書き留めた。今度は現実の世界だった。

「円の具象」(肖像だったかもしれない・・・夢の中では象像だったようにも)
「網の具象」

頭が冴えた頃、読み返してみた。
なんのこっちゃと思いつつも・・・。

「丸い心となれ、広い心となれ、そういう心を弘めよ」とでも解釈すればよいのかなと思いながらいる。