脚下照顧

仲良くしている・・・していただいているというべきか・・・海外のお坊さんがいらっしゃった。
日本で修行していたこともあって日本語はペラペラ。日本での生活費を稼ぐためにアルバイトもしていた経験もあり、そこいらのアルバイトよりよほど気が利く。

修行も終えて無事本国に帰り自らの力で寺を建てた。今は二カ寺目に着手している。
そんな彼が本国のお坊さんたち数人を引き連れて日本を案内した。

その途中我が店にもいらしてくださったのだが、しっかりした尼僧方。修行した国を案内して回られた。
松本に行き京都に行き大阪で御一行を見送ってから東京に舞い戻られた。

残務もあってのこと当店によってダベリングしながらホッとしたように感じた。

「京都はいかがでしたか?」

TONが水を向けると「大変だったよ」と一言。

「ん?なにが?」

と聞き返す。

ことはこうだった。
ある有名な観光寺に向かう門前への坂道の途中で一軒の食堂に入ったという。

御一行が店内に入ると店のおばさんがシットダウン!と指を指して命令してきたという。
「シットダウン!シットダウン!」怖いくらいに有無を言わせない態度にいたたまれず店を出た。

坂を戻って四条まで上がりある中華屋に入り直した。
菜食主義の御一行は、入口で「肉は口にできないのでお肉は入れないで調理してもらえますか?」と尋ねた。
「大丈夫ですよ」
と返事をもらい安心してメニューから料理を選び、肉抜きでお願いしますと改めて注文した。
帰ってきた応えは耳を疑った
「できません」
「初めに聞きましたね」
くつろいでいた尼僧さんたちを促してまた店を後にすることとなった。

またこんなことがあった。
京都駅近くにある本山前の仏具商に入ろうとすると、なんとそこの店主に、
「ダメダメ。入っちゃダメ」
門前払いをされたのだ。
「私は買いに来たのです。なぜ?」

いやいやTONも耳を疑った。

ずっと以前京都に出張に行くと、新規開拓を怠らなかった。
しかし返ってくる言葉は決まって「あんさん関東者でっしゃろ」と低く見られて門前払い。
そんなことから見返したるで。。。がTONの性根に染み付いたのだが・・・

そんなことが急に頭をよぎったのだ・・・

浅草にも鼻で扱われる店に入ったことが過去にある。
以後二度とその門をくぐったことはない。

まあ、人のことをかくいう事は簡単だが、脚下照顧、我がふりを直す材料なのだろうな・・・

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