今の雷門店を開店する時だから昭和から平成元年になろうとしていた頃。
写経でお世話になっている佛心寺の永井一灯師に紹介いただいてお付き合いをさせていただくようになった。
荻窪あたりの喫茶店で待ち合わせた。
待ち合わせの時間通りにいらしてくれた。
初対面の僕に開口一番おっしゃられた言葉が、
「僕はこの人は大した坊さんだと思っているんだよ」
だった。
「僕はクリスチャンだけど僕の葬式にはこの人にやってもらいたいと思ってる」とも。
ペトロというクリスチャンネームもお持ちの方が、なぜゆえにいくつも写仏の教室を持ち、しかもお寺さんを含めた熱烈なファンをお持ちなのか不思議でならなかった。
けれど氏の描かれる絵には強烈な魂のほとばしりを感じた。
「僕の観音様はマリア様なんだよ」
そんなTONにそっと教えてくださった。
観音様が筆先に顕れるまで2日も3日も寝ずに描き続けた。
片肺を失うほどの華奢な体のどこにそんなエネルギーが潜んでいたのだろう・・・
難波先生のアトリエに何度も足を運ばせていただく中、直に肌で感じる機会を与えられた。
TONなりに合点がいった。
鬼籍に入られて、もう四半世紀が経とうとしている・・・・
ただ、いつか行こうと言っていた坂村真民さんや京都の平安工房にはついに一緒に行くことはできなかったですね。。。