最近は仏壇が売れないと同業者仲間から悲痛な声として繰り返し耳に入る。
少し前は、海外の安価ものを安売りチラシと機動性を武器に展示会戦略で既存店の商圏(もろになわばり意識だが)を荒らす業者に売上を持って行かれたと聞いていたが、公正取引委員会が動いて鎮静化したようだ。
が世代が順繰りに交代してくると様々な要因から仏壇を祀らない家が多くなった。買い替えといえば小さいお仏壇への買い替えで、ややもすればお引取りだけの要望ということも。
少子高齢化や跡取り問題のしわよせが顕著に現れているように思う。日本人の先祖意識の希薄がさらに根底に有ると感ずるがそれを話すと宗教家への苛立ちにヒートアップしてしまうのでそんなもんだとあきらめる。
念珠に関してはそうした文化の衰退に反旗を翻し、なのか、かろうじてなのか、気を吐いているのではないだろうか。
しかし製作というより改装という分野が格段に伸びたのも確か。
20年くらい前、日本の有数な数珠の産地が念珠修理をするくらいなら、供養(つまり廃棄)してしまうようにお客様に説得して新しいものを購入してもらうようにして欲しいと方針を出した時期があった。
怒った。TONは。
念珠は手作りだけに量産とは行かないがそれでも同じ種類のものを大量に制作したほうが楽だし価格もこなせる。
けれど念珠にはその名のとおり「念」・・・つまり「祈り」がこもったものなのだ。先代や先々代から引き継がれたものもある。
物であって物ではない。心なのである。
念珠としての自殺行為ではないかと思った。
ということがってTONは、どんどん受け入れさせていただいた。
といってもたかがしれているけど・・・
おかげで独自の製作方法も編み出せたし、ノウハウも蓄積できた。
いつの間にか直すより新規と言っていたところが方向を転換していた。
でもどれほどの遺産としての念珠が失われたのかなと思うと心が痛い。
最近は遺品の宝飾品を念珠にということが多くなった。
ま。それも僕らの使命だと思ってはいる。
真珠のネックレス
水晶の道具を足して・・・