若い時には・・・、と言ってもそんな昔の話ではないのだが。
「TONちゃん糸通して」
おふくろが針仕事をするとき必ず脇に居る僕に依頼する仕事だった。
なんで見えないの?とよく尋ねた。
若い時は両目2.0だった母の依頼が信じられなかった。
けど、今はメガネをかけても見えない僕。
腰が、足が、膝が痛いから歩けない。
相撲崩れのヤクザ相手に大立ち回りもしていた恩師も晩年はまともに歩けなかった。
膝がね・・・
なんでそうなるの?
富士山に自転車を担いで登っていたTONという自信家は信じられなかった。
けど、腰ー膝を繰り返し痛めては、階段を上り下りにも苦しむようになった。
あの~人が、あの~~~誰だっけ。
年寄りの口癖。顔は思い出すんだけど、名前がね~
母親との会話には空気を読む才能が必要だった。なんで名前くらい覚えられないの?
けど、見事に同じことをやっている自分。
自分より若い30歳、40歳の人たちが腕が上がらない、回せない痛くて痛くて・・・
五十肩?何それ? 信じられなかった。
四十歳も五十歳になってもぐるぐる腕を振り回すことも、背中で左右の自分の手で斜めに握手することもなんの苦もなく行えた。
けど、右手が最近回らなくなった。痛くて。
老化というとわだかまりが自分の中にあるのだけれど、間違いなく先人たちの痛みも、苦しみもトレースしている自分。
信じられないくらい同じことをやっている。
あと何が待っているのだろう。
手が痛いし痺れるから自転車(スポーツ車)に楽しく乗れない。
やだやだと思えばほんとうにやだーー!なんだけど、このことに出会えなかったら、気づかなかったら、
人として相手の痛みがわからない中途半端な人間になってしまったかも。
だからそんな中でも、あたらしいことにもチャレンジしている。
できないなりに今の現状を楽しみにもしている。
ちゃんと巡り巡ってくるもんだと関心もしている。
だから、それでいいのだ・・・