「とどろき」とつく地名は、どうどうめく、つまり川音などの水音が激しい様を表しているところに因んで名づけられた場合が多い。
だから、十中八九近くには川が流れ、本流と支流の合流地点であったり、滝があったり、谷あいであったりと川が騒がしいまさしく川音がとどろいている土地が多い。
東京の等々力も、轟も、等々鬼も地形図を見ると近くに川が走っている。
自転車で旅をしていた頃、五万図とにらめっこしながら走るコースの状況を先読みして想像するのが楽しかった。
現地に行って予想通りだと、悦に入ったものだった。
最近NHKのドキュメントで驫木(とどろき)という青森県の日本海側の小さな駅のルポを観た。
面白いと思ったのは、「馬を三つ重ね」てとどろくと読ませるところにあった。場所は五能線の水しぶきのかかる小さな無人駅。
土地の古老の話では、北風で海のとどろく様に三頭の馬が驚いて暴れたことにちなんだのだという。
厳冬の青森の厳しさは並ではないから頷ける話ではある。
ちょっと脱線するが、驫の字に触発されて調べてみた。
三文字重ねることで、様を強調したのだろうと想像する漢字は奥が深い。
訓読みがされていないも漢字もけっこう多いものだと思った。
轟(ゴウ・とどろく)・驫(ヒョウ)・灥(セン)・厵(ゲン)麤(ソ)・矗(チク)
超実直な人は矗人だの、橋にも棒にもかからないほどのお馬鹿な人には驫麤だのと、新しい表現ができそうである。冗談ではあるが。