僕らの仕事はいかんせん葬祭ごとにつながる。
念珠は法具だから、葬祭というより行道であたるし、お香にいたっては、香の道や気分をリフレッシュするためのルームフレッシュナーとでもいうべきもので、葬祭とは縁もないとなるのだけれど、大きく、くくれば、人の生き死にに縁は深い仕事となるのである。
ご進物のお線香やお返し物を取り扱う関係で、ご霊前とは、ご仏前とは、ご神前とはとまず始めに覚えなければ仕事にならない。
蛇足になるが、慶弔ごとの包装紙の包み方は、異なることもこの業界にかかわって初めて覚えさせられた。
ちなみに言えば、喜びごとの包み方は、幾久しく慶びが続きますように、畳まれた包装紙の下端が受けの形になっている。
反対に忌ごとの場合は、同じく下端が開いていて、悲しみは早く抜けるようにと祈る形を取るように包装紙を折りあげなければならない。
日本人の相手を気遣い嗅げながら祈る良さだといつも誇りに思う。
これが店舗販売でまず覚えさせられる第一歩。
で、包装をしかけ紙をし表書きを書くと言うことになる。
四十九日以前にご使用になる場合なら、表書きは
「ご霊前」
それ以降ならば
「ご仏前」
が、一般的なのだが、これは仏式の場合に使われ、しかも厳密に言えば浄土真宗以外の宗派ということになるのだからちょとややこしい。
真宗では、霊の存在を説いていないのだから、ご霊前とはならないから、始めから
「ご仏前」ということになる。
キリスト教では(お線香は持っていかないが・・・)
「献花代」「お香代」
本当に様々だと思う。
で、今日宿題をいただいた。
ある有名な俳優さんの「偲ぶ会に参加するのだけれど、表書きは何と書いたらいいのかしら」という質問だった。
そういう会に参加したことはなかったので、はたと困った。
そこで調べてみた。
あえて無宗教の形をとっているのだからそれにふさわしい表題はなんだろう・・・
ありましたありました。
「御香料」「御花料」「御偲」「御香資」「御香奠」「志」
なるほど・・・
と、してみると、香(花)ということがいかに万国共通・・・万宗共通かがしれよう。