沈香

最近、あるお客様が泣きながら話してくださった。

ネットで購入した沈香のブレスが真っ赤な偽物だった。
2、3回は電話で対応してくれたがあとは全く電話に出なくなった。

これですと見せていただいた代物は・・・代物とあえて表記したくなる全くのまがい物だった。

「沈水香ですか?」「ランクは良いものですか?」と友人に頼まれて購入するためのものだったから根掘り葉掘り確認したのだそうだ。
会社側の答えは最高のものだから安心してくれとの事で、その言葉を信用したのだそうだ。
投機筋が対象にするような素材は、残念だがこういう手の業者がまかり通るようになってきていることも事実のようだ。

素材のみの販売はTONは好まない。
何が値上がりするかくらい風を読んでいれば当たり前に読めるものだ。でも・・・

そこにひとひねり・・・技術が入ってこそ職人の店のものとTONは思っている。
だから、今の伽羅や沈香のフィーバーぶりは辟易する。地金にもね。
頼めば昔からの信頼で入手できないものでもない。
けれどそれがなんなのだろう・・・

子供時代は古銭収集が飯より好きだった。
中学のあるとき、人を騙して相場以上の価格で友人に売りつけようとしたのを見て本当の相場を彼に伝えてあげた。
恨まれた。相場を知ったものが勝ちなんだと言わんばかりに反論されて・・・
とたんに熱が冷めた。

労少なくして功多しというのが商売なのだそうだ。
自分にはそういう生き方はできない。
労多くして功少なしというのが自分の商売だと思った。

話が長くなったが、どこか最近の日本人、へんだ。

これは当店の腕輪だが、まだ豊富に在庫があって、沈香が手に入れ安い時代のものから比べれば残念だが落ちる。けれど、しらたばかりの最近の沈香を思えば、雲泥の差がある。

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