本緑檀を扱うようになって数年たつのだけれど、仏具業界のある種のクセというのか、素材をはっきり表示しないことが通って久しいです。
技術屋から転向したばかりの頃は、気持ちが悪くて仕方なかったものだけれど、問い詰めても問屋がそもそも知らないということに気づいてからは、メーカー上がりの担当員としか込み入った話しはしないようになってしまいました。
だからかな、営業という肩書きの方々とは馬がどうも合わない。
古い営業さんはとことん知らべてくれるのでちょっと違うのですが・・・最近は少なくなりました。
トンテンカントンテンカンと木槌を打ったり、鑄流したりして原材料をつくるような人たちとウマが合うのです。もっとも時間に追われている彼らは長話しはしてくれませんが。腰が重くなってしまうTONは迷惑のたねでしょう。
緑檀とちまたに流通している素材も最近は耳慣れてくるようになってきました。
黒檀、紫檀、白檀は慣れた素材。
緑の素材ということで「檀」の字をつけて緑檀。
その緑檀にも2系統あることは意外に伝えられていないのです。
一般に流通しているのはりグナムバイタという無臭の木。恐ろしく緻密な木なのです。
匂いはしません。比重が重く水に沈む緻密な木です。生命樹と通称されてもいます。
一方、香木としての緑檀もあります。それがこのパロサント。
南米ペルーでは神の木と称されるそうです。甘い芳醇な香りは老山白檀の濃厚な甘さとはちょっと趣きを違える香りを醸します。
産地や木取りによって木質が違うので一見すると見間違えます。
原木はペルー産。
こうしてみると芯材と外皮近くの材の違いが分かりますね。