白黒の世界

僕が写真に興味を持ちだしたのが高校一年の時。

自分の街に当たり前のように走っていた市電が全廃される衝撃を受けて、カメラを片手に全国の路面電車を撮りだしてから夢中になってしまった。

フィルム時代のカメキチにとって、一番のネックは現像代であった。

いちいち現像所に出していたのでは、小遣いがいくらあっても足りないし、人に頼んでいたのでは自分の狙っていた表現に映像が追いつかない。

みんなそうだったと思うが、時を待たず現像の世界に没頭するようになっていった。

風呂場を使って、現像液、定着液を用立てて、少しでも安上がりにするために定着液はミツカン酢を使って・・・台所から拝借していくもんだからお袋に何度嫌味を言われたものか。
おまけに風呂場は使えない、使ったあとは酸っぱい匂いが抜けない・・・etc。

しかし、面白かった。

現像液の温度調節一つ、印画紙の一部だけ温度を上げて映り込みに変化をもたせる、などなどと深みにはまっていったのだが、技術を蓄積する時間もないまま、全紙の依頼まで受けてコンクール用の山岳写真までも手がけた。全紙を受けるトレイはお風呂の利点を生かして湯船を使うなど涙ぐましい努力をしたものだ。

デジカメの時代になって興味を失った。

久々にインスタという遊びをちょこちょこ仕出した。

そこで久々に再開したのがモノクロ処理の世界。

しばらくまたお世話になりそう・・・。


浅草寺内の母子像。満州からの引き揚げは辛かったろうなぁ・・・

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