83さい

予想していたとおり、お盆タイムだった。
そういう状況であると決まって、
大事なお客様が多いのも常だ。
この仕事を、はじめた頃からのお客様も多い。

うちは、
一度お付き合いしていただけると、
ながーくお付きしていただけることが多い。

仏壇屋家業なのだから、彼岸の向うまで、
お付き合いさせていただくのは、
当たり前と言えば、当たり前なのかもしれないが…
ありがたいことだと思う。

開店一番のお客様、
日本では、カイロの草分けのKさん。
先月末で「83歳になっちゃったわ」って
舌をぺろりと出して笑う姿は、童女のようだ。

モラロジーがいいからと最近はじめられたようだが、
メガネもかけず、閑さえあれば、本を読んで勉強している。
カイロの勉強に、医学書を今でも読み漁る。
いいという話を聞けば
つまり、貪欲なまでに、前向き前向きなのだ。
そんな姿を見せる彼女に、いつも脱帽させられる。

こんな、エピソードもある。
60歳代バス乗り場で順番を待つ列を乱し先頭に横入りしようとする、
屈強な大男を、見事、投げ飛ばし、喝采を浴びた。
150cmそこその体のどこに、そんなエネルギーを貯めているんだろう…
首を傾げてしまうほどだ。

83歳にして歩くスピードは、ついていけないほど速い。
いつも見えなくなるまで、見送らせてもらうが、
最後に大きく手を左右に振って「バイバイ」という。

錆びないとは、こういうことなのだなあと、実感させられる。

本心では、若造の自分の歳で、
Kさんの云々は語れないと思っている。

自分がKさんの歳になってみたとき、きっと今を思い出すだろう…
と思っている。

果たして、自分は、いつまで前向きに、
そして、錆びず、エネルギッシュでいらるであろうか。と。