万霊灯籠供養

8月を目の前にすると

敗戦記念日と、供養会が頭に浮かぶ。

3月8日の大空襲でここ浅草は、火の海と化した。
この隅田川が、人の屍で埋まったという。
思いたくもない光景だが、事実は事実なのだ。

いまでこそ、ウォーターフロントとして人々が行き交い
家族連れや若い人たちの笑い声が絶えない
観光スポットのひとつだ。

季節になれば屋形船を浮かばせ、桜花を愛でる川面がそうであったという。

たった60年前に、目もそむける阿鼻地獄が、
おんなじこの場所で、展開されたのだ。

浅草から文芸作品によく使われる吾妻橋の上流側の歩道を渡りきり、
ふと左に目を転じれば、そこに小さいお地蔵さんが立っている。
いつも花と線香が絶えない場所だ。

空襲時に川で亡くなった、子供たちの霊を供養するために
建てられた供養碑である。

見上げれば、観光スポットのひとつアサヒビール本社の
巨大オブジェが、異様に大きな魂にすら感じてしまうのである。

8月15日浅草寺の主催で
万霊灯籠供養会(ばんれいとうろうくようえ)が催行される。
心して、のぞみたいと思っている。