活き活き

活き活きと自由闊達な、
見るものの心を自由にさせてくれる、
何かで充たされる、

そんな彫りが好きだ。

弥勒菩薩

線が単純なほど表現が難しい。
その最たるものが、弥勒菩薩だ。

100体作って納得のできるものは1体あるだろうか。

その一点に会えたら言葉にならない喜びがある。

縁とは

浅草にも他の都市と変わらず、というのか、
ご多分に漏れずというのか、むしろ、多くのと言うのか、
とにかくホームレスの数は多い。

上野の山は、問題になるほどのコロニーに成長しているし、
隅田川沿いは、高速道路から遠望すると、
ブルーテントが、川沿いに集合住宅化しているのが見られる。

どう暮らしているんだろうかといつも不思議に思っていた。
ある朝、駒形橋脇に多くのホームレスらしき集団が
巨大なビニール袋を持って
誰かを待っている様子のところに出くわした。

それぞれの袋には、空き缶が山と入っていた。

なあるほど。
ここで缶を換金するのであろう。

彼らはこれが生活の手段なのだ。
少なくとも、生きる意識を持つ者にとっては。

お客様のK氏から電話があった。
香合仏を注文してくださった。

彼は、韓国を祖国とするが、日本での僧籍を持ち、
なおかつ事業主でもある。
お店に来られても言葉少なにお寺で使用するお香を、
あれこれと買ってくださる。

「お寺を運営する為の事業のような格好になっているけど
お金を残す必要はないからね」

「大乗の教えを実践していくことがぼくの使命なんだよ」
電話越しで話してくれた。少なからず驚かされた。

豊臣秀吉の朝鮮出兵時の遺跡である鼻塚に祀られていた霊を
祖国へ帰還してもらう事業を昔、手伝わせていただいたことがあった。
何故か、そんな話がぼくの口をついて出た。
「大邱(てぐ)に行ったことがあるんですよ」

今度は彼が驚いた。
そこが故郷だと言う。

不思議な縁だねえと話が盛り上がった。

今度は、彼が「ぼくの仕事はね…」

聞いて驚いた。
ホームレスから空き缶を買い取っているのだそうだ。

「ぼくが一日でも動かないと、彼らは食べられなくなってしまう」
数千人を養わないといけないのだという。
「だからつらくても休むわけにはいかないのよ」

どこでどうつながりがあるのか
縁とは不思議でならない。