麝香(じゃこう)鹿の香袋なのだ。
つまり陰嚢のこと。
今はワシントン条約で禁止になって久しい状態でなかなか現物を手にすることが難しくなった。
これは香材料の見本として数十年前に手に入れたもの。
鹿さんの毛並みが見えてちょっと引くかもしれないけれど、大事な大事な香の材料となる。
麝香・・・ようするにムスクだもの。
そして、あるときにTON店長が香を作る機会を得ました。
そこでは貴重なムスクをふんだんに使えると言うことを聞いてピンときた。
ムスクはクレオパトラの愛した香り。
「ようし。ほとんどムスクの香って言うのはどうじゃらほい」
欲張って作ったのでした。
それがこれ。
作った当時からほとんど減らない個数。
たまーに、本当にたまーに今でも焚く時があります。
とたんにTON店長の周りからは、人が逃げていきます。
そりゃそうだよね。
お汁粉に甘みを引き立てるために塩をほんの僅か使います。
塩だけで作ったお汁粉は誰も食べません。
TON店長のお香は、塩のお汁粉のようなものだったのです。
ほんの数グラム僅か使えば奥行きのある香りとなったものを・・・
ベースになったマイソールの白檀の香りも消えうせたようでした。