包む心

正月が終わろうとするときに、毎年の恒例作業がTONにはある。
50軒分程度だがお年賀用の包みが毎年あり、こればかりは誰にも手出しさせない。

単純作業なのだが、TONは嫌いではない。

むしろ頭の中が整理されていく気がする。

作務の中に仏法を感じるというが、庭掃除や便所掃除に限らず雑巾持って拭き掃除や掃き掃除も含めて単純作業というのは、TONにとって気づきを与えてくれるなくてはならない作務なのだ。

だから掃除が嫌い、とか単純作業が嫌いとかいう者の気がしれない。

商品の包装をやっていると二人の人を思い出す。

一人は、以前お店で働いていてくれた丸山という女の子。
TONも初めからなんでも出来たわけではない。

包装なんて大の苦手。逃げてばかりいた。ついに捕まった時にはお客様の目の前でじっくり見られながら包装させられるなんて赤っ恥を書く事もあった。
どうすればよいか皆目見当がつかないし、形を整えるのにやたらとセロテープを使うから、見苦しい姿に出来上がる。

デパート出身のこの子は、折り目正しく商品に包装紙が吸い付くように折る。
セロテープは最後の一箇所しか使わない。

なのに商品の角かどがきちんと包装紙が当たって綺麗に仕上がる。

「何でなの」と聞くと、TONは技術的なことを聞いているのだが、その丸山さんは、
「お客様にあ!っと驚いてもらうため」とこともなげに答えるのだった。

そしていま一人は、もう30年近く家族ぐるみでお付き合いしてくださっている立川さんというお客様。

まだ体だった頃は、若かりしTONの包装するところをつかまえては、
「こうしたらいい」んだそうで、見るに見かねたのだろう。
だから、彼の見えないところで包装したものである。

口を出したくなるのよくもわかる。
若い頃はアルバイトで有名デパートの梱包係に配属されていた。
研究熱心な彼は、100個でも200個でも包装した荷姿があまりにも美しく、20、30と重ねた商品の包装紙の模様が寸分の狂いなく、ぴったり一致する。
各売場にヘルプし引っ張りだこになるのは当たり前の話。

「みんなの驚く顔が見たいんだよね」

どこかで聞いたセリフをここでも耳にする。

そんな良き二人がTONの「包む心」の師匠である。


うでが落ちたなぁ・・・・

これがおわると七草、そして小正月。。。。