TONがこの仕事を始めた頃は、線香屋の営業マンが香木の善し悪しを見てもらうとき決まってすることが、沈香の欠片を手に取って、おもむろに取り出したライターを着火してもったいなくも焦がしてくれたものだった。
今では信じられない光景が展開されたものだ。
ベトナムの最上級も紫油も緑油も含めた数種類から泥と呼ばれる低価格の沈香まで、寺営業廻りを主にしていた当時は見本は欠かせないツールでそれぞれ在庫も切らすことはまずなかった。その見本の生き残りだ。
今時の最上級と言われる沈香もかなわない当時は普及品。
今の時代夢のような沈香揃いだ。