直しで持ち込まれた念珠である。
水晶プレートのついた腕輪だ。
お客様いわく、まだほとんど日にちはたっていないのと言う。
けれど4本の(実質は2本)のゴムのうち1本が切れている。
ということは実質1本で持たせているということ。
この手のプレートは糸穴内に研磨がきかない。
だからやすりのような状態にある。
格好良くゴムを納めたいとするから、ゴムを2本使用してループ掛けする。
ループ掛けということは、他の丸玉穴内には4本目いっぱい入っていて一見強そうに見えるが、結局はテンションを2本で持たせているのだ。
なんなら1本切ってみればわかる。
するするとゴムは抜けて、さっきまで4本入っていた丸玉内にはゴムが2本しか残らない。
ケンシローではないが、
「お前は4本入って丈夫そうに見えるが、実は2本なのだ。アチョー」
なのである。
プレート部分に、いかついゴムのこぶしがないから実にスマートに見えはするのだが・・・
TON店長は
「TONでもないこっちゃ。
お客さんの身になったら長持ちするほうがエーやろ」
と、こういう部分にはデザインより実利を選ぶのだ。