宝飾品からの改装

この仕事をしていると、「珠」のものならなんでもごじゃれと思われるのか、様々な個性を持った製品が持ち込まれ、修理の依頼が入ります。

つい先日創らせてもらった華鬘(けまん)の房もそのひとつですが、ストラップあり、羽織紐、仏壇の取手房、ネックレス、指輪、ワイヤーブレスレット・・・etc.
と、本当に様々です。関連性のあるものだから、やれませんとは言いたくないし、その心を知ってあえて持ち込まれるものもあります。

今回は、玉を利用して念珠に仕立て替えというお仕事。

まず、
孔雀石のネックレスです。

グラデーションに加工しているので、ちょっとやりにくいのですが、使用する石の配置によって男性用や女性用が作ることが可能です。


ネックレス用なので穴繰りはこんなものです。

完成!

こちらは切子水晶のネックレスです。

親玉や二天玉を足してエイヤッ!

こうなるわけです。

眠っている宝飾品はまだまだあるのでしょうね。

休眠のままにしておくことを考えれば、活かしきるということの方がいいに決まっていますから、腕を磨くしかないようですね。

屋久杉大玉腕輪

通常の屋久杉の大玉(10mm)にアラカルトでトルコ石とインカローズを足しました。

トルコ石は腕輪用で穴が少々小さかったので、正絹紐は通りません。
しかたなくゴリゴリ自分で開け直しです。
ただ、トルコ石やラピスならば、専門工具がなくともヤスリ一本あればこんなことも朝飯前のTONです。

屋久杉の素材がだんだん手に入りづらい環境になってきていますね。ちょっと心配です。

老山白檀のようになってもらいたくないものです。
誰が今のような老山白檀の入手困難状態を予想していたでしょうか・・・

芳醇な屋久杉の香りは、ナチュラル志向の方には、正しく「グー!」でしょうね。

創り手泣かせ、石泣かせ

若い頃(今も十分若いが)、「TONさん、若い娘は小麦色が好きか、白いのが好きか」と突然先輩に聞かれた。東北生まれの母を持つTONさんとしては、「白い娘がいいですね」と熟慮して答えた。

この先輩というのが、職域のテニスの部長をして足が長く小麦色で絵になる男だった。
「なに!白いのなんて病気みたいだろ。小麦色だよ小麦色」
んなら聞くなよ。とも言えず腹に収めて、「そうですか白いほうがいいですけどね・・・ムニャムニャ・・・・」

と、この時期になると不思議と思い出す。

当時は「小麦美人コンテスト」なんていう催しが、海水浴場では盛んに行われていたものだ。

遠い目・・・・・・・。

が、最近はどうだろう。

紫外線はカエラだに悪い。夏の日光から皮膚を守ろう。とばかりに真夏を過ぎても真っ白な女の子がゴロゴロ(失礼!)いるではないか。

その先輩がどれほど嘆き悲しむだろうか。・・・と思うと、ざまぁみろと言いたくなる。

ま、そんな話はこっちに置いておいて、何が言いたいかというと、白さを保つためにはづ市営るかということなのだ。

長い手袋をするのも一考。

けれど、今はスグレモノの日焼け度目のローションが一般的になっている。

実は、これが曲者なのだ。

念珠にとってね。

この時期、腕輪念珠のゴムに実の過酷な時期なのだ。大量の汗、強い紫外線。お肌はローションで守られていても念珠までは守れません。

おまけに・・・日焼け度目クリームはラピスや珊瑚、トルコ石といった多孔性の貴石には、鮫肌状になったり色変わりなど、悪影響を及ぼすことを案外知らない方が多い。
甚だしい場合はケロイド状になってしまうことも。

おまけにお直しして通し直したシリコンのゴムが・・・結べない。ときた。

いつもの調子で結んで処理しようとすると・・・あ~~~ら不思議。
スルスル・・・とゴムが解けてしまうのだ。泣かされる泣かされる・・・

しかたない。楔を打って留める。手間が倍かかる。

真夏太陽光がきつい時はラピスやサンゴは避けたいものだ。と思う。

研究

ある大学の先生様からのご依頼によって、こだわり人間の心に火がついてしまった。

まぁそんなにむずかしい注文ではないのだが、念珠製作者としてはちょっとアウトロー的な門外漢的なことに時間を使う羽目になったというか、その世界にはまってしまっている。

肝心要なところを行うためにはそこに至るまでの枝葉のことが案外大事なもので、結果よければ全て良し的にはいかない。

完成に至るまでの道程が絶対に必要なのだ。
というポリシーというか、、、めんどくさいTONの性格なのであるからして仕方ない話なのである。と思ってもらいたい。

まぁやっているうちに楽しくなってきて道を逸れてしまう恐れがあるということの詭弁を弄しているといえるのだが・・・

紐端末の処理に釈迦結びをつけてみたが、左も右も同じ釈迦結び。開くか結ぶかで表情が変わってきてしまう。実に面白い。

今時の念珠の房は、できた完成品の房を接着して端末処理するだけなのだが。
本来はこんな結びの文化を生かさない手はないだろう。と、思う。時間が食うから自ずと費用がアップしてしまうのはやむを得ないけれど・・・

さて、どうしようかなぁ・・・

似て非なり

驚いてあいた口がふさがらない。

まだ世の中にはこんな商売する輩が居るのかと・・・

以前は結構怪しい玉が流通していたのは確か。

珊瑚や琥珀を染めて希少種の素材を騙るもの。

直しに預かっても、喜んでいらっしゃるのにあえて水を差すことはしたくない。

けれど、言うべきことはお伝えしないといけないと思って言う。

一見すると見間違う。

テラヘルツとヘマタイト。

わかりませんね・・・・見ただけじゃ。

大玉がテラヘルツ
小さい玉はヘマタイト

わっかるかなぁ~~~~~。

テラヘルツはシリコン結晶です。軽いのです。
重さが全く違いますよ~~~~~。

改装

ある有名寺院で買われた片手念珠。
浄土真宗のお客様としては、このままでは使えないからということで改装に相成った。

基本的には梵天房は浄土真宗では使わないからね。

で、こうなりました。

むくろじという珠

お客様の持ち込みで製作させていただいている。

むくろじは漢字で書けば「無患子」と書く。

案外手に入りやすい玉だが、それが福徳のある玉だと知らない方が多い。

この玉は調布の深大寺になる実を拾ってこられたと聞く。

とにかくカラが硬い。

それもその筈、正月、羽子板遊びに使う羽のほう、黒いお守りに使う黒い部分が無患子の実と知る人はこれまた少ない。あれだけカンカンつかれて、おまけにフィニッシュ!カキーン!なんてやられてもびくともしない実なのだから、それはそれは硬い。

それに穴を開け糸を通す。(今回はゴム)

なかなかいいものである。。。

独山玉片手もこうなります

もともとは、独山玉(どくざんぎょく)だけの片手念珠。

とはだれが想像できますか?

足らない玉は色を選定して足して浄土宗の八寸に仕立て替えしました。

このまま販売もできそうなハイクォリティーな念珠が出来上がりました。

正式に創ってみましょうかね。

Sサイズ念珠

Sサイズ念珠ってなあに???

百聞は一見・・・です。

右は大人用の水晶片手。
左はライトアベンチュリンのSサイズ片手。

子供用としてもいいし、御詠歌の時に使うもよし。

小さいので常に身につけることができるところがいいですね。
腕につけることができないときでも正式なお念珠がいつもお守りで身につけていただいているのは心強いでしょ。

案外利用範囲が広いお念珠です。

もし子供用として使われるならば、大人になった時には、内径を広げるために他の玉を足して仕立て直して上げれば永久に使えますよね。同じライトアべンではなく水晶とのアンサンブルにしたりもいいですね。

もちろん、TONがお直しさせていただきますとも。。。\(^^)/

大玉でつくりました。。。


トラメ石3色、青、赤、黄色でつくりました。


腕にしてもそれほど大きく感じません。

青トラメのみでつくるとかなりの迫力。

なにかの石と組み合わせる方が大げさ感はなくなるようですね。

けど・・・・

最近は、16mm玉、20mm玉をする方もいらっしゃるので、時代も変わったなぁとつくづく思います。

でも・・・ほんとはね、TON的にはそこまで大きくされるなら、琥珀にしたくなるのです。

ここまで大きいと、とにかく重いです。そのうち腕に付けなくなってしまう。ならばほどほどの大きさにするか、琥珀や象牙、木製品(屋久杉や一位など)にしたらいいのにと思ってしまう次第です。