急きょ、高3の長男を連れて東京ドームに行くことになった。
本来なら受験勉強に突入中で、
そんな暇などあろうはずはないのだけれど、
どうもこの期におよんで、まだエンジンが
かかりきれない姿を心配して、
親子の話をしようと連れ出した次第なのだ。
便利なもので、ネット経由で空き状況を確認し、
コンビニでチケットを受け取って、そっと出かけた。
長男と二人でドームに行くのは、8年ぶりくらい。
小学校だった頃の彼は、ドームの大きさに度肝を抜かれつつ、
目をきらきらさせていた。帰り道も興奮は収まらず、
湯島を経由して家まで歩いて帰った。
親は昨日のように思い出す。
そんな思いに浸りながらいる親の感傷を意に介せず、
ぼくよりでかくなった息子は、無表情に席に着く。
おしだんまりを貫いていた息子も、1点リードされていた巨人が後半、
一気に逆転すると、思わず大声を出しつつもニヒルに喜びを表現していた。
「帰りはどうする?」と聞くと、
「歩いて帰る」と珍しく自分から意思表意してきた。
8年前と同じように湯島経由で帰ることにした。以前と違っていたのは、息子の足の速さと真っ暗な天神様で合格祈願をしたこと。
何話したのと心配していた母親から電話が入るが、そういえばそのために来たんだったっけ。興奮してすっかり忘れていた。